電動ユニット年450万台へ。地域とともに築くグローバル生産体制

2025.07.30

電動ユニット年450万台へ。地域とともに築くグローバル生産体制

環境保護に関する規制が厳しくなっている今、環境性能の高いクルマの需要が高まっています。特にハイブリッド車(HEV)や電気自動車(BEV)の需要が増しており、安定した製品供給体制が求められています。
こうした中、アイシンは自動車部品メーカーとして唯一、HEV、プラグインハイブリッド車(PHEV)、BEV、燃料電池車(FCEV)向けの駆動ユニットをフルラインアップで揃えており、さまざまなニーズに柔軟に対応できる体制を構築しています。その一環として、2025年までにグローバルで年間450万台の電動ユニットを生産できる体制の構築をめざし、地域ごとの生産体制を強化。顧客を含めたパートナーとの連携・提携を深めながら、持続的に成長し続けられる強い企業基盤を築いていきます。
※eAxle、e-Four、ハイブリッドユニット

今回は、北米、欧州、中国、インド、アセアンの5つの拠点における現地の主要顧客との関係や電動ユニットの生産体制について現状を紹介します。

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【北米】北米市場向け電動ユニットを2拠点で生産

北米では、「アイシン・テキサス」と「アイシン・ノースカロライナ」の2つの拠点でハイブリッドユニットを生産しています。

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アイシン・テキサス
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アイシン・ノースカロライナ

北米初の電動ユニット生産拠点「アイシン・テキサス」では、2021年に北米で発売されたトヨタの新型タンドラに搭載されるFR1モーターハイブリッドユニットの生産が行われています。同類のユニットは2024年に発売された北米仕様のランドクルーザー“250”にも採用されています。

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ランドクルーザー”250”(北米仕様)
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FR1モーターハイブリッドユニット

さらに、アイシンの2つ目の電動ユニット生産拠点「アイシン・ノースカロライナ」で生産されたFF2モーターハイブリッドユニットが、2024年に発売されたトヨタのカムリHEVに採用されました。

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北米カムリHEV
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FF2モーターハイブリッドユニット

【欧州】BMWと「e-axle」の受託生産で合意、チェコ拠点を拡張

アイシンとBMW AG(以下、BMW)は、長期的な戦略パートナーシップを築く第一歩として、BMWが設計する「e-axle」の受託生産に協力することに合意しました。アイシンは、2020年代後半に中国と欧州の拠点で生産を行う計画です。
※顧客名称を使用

生産拡大に伴って、アイシン・ヨーロッパ・マニュファクチャリング・チェコの施設を拡張し、製品供給体制の強化を進めていきます。

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アイシン・ヨーロッパ・マニュファクチャリング・チェコ

【中国】2拠点で進む電動ユニットの生産

中国では、愛信(蘇州)汽車零部件有限公司と広汽愛信自動変速器有限公司の2つの拠点で電動ユニットを生産しています。

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愛信(蘇州)汽車零部件有限公司

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広汽愛信自動変速器有限公司

愛信(蘇州)汽車零部件有限公司ではFF2モーターハイブリッドユニットを生産しています。また、2025年にはアイシンと広汽集団の合弁会社である広汽愛信自動変速器有限公司で、広汽集団が設計したPHEV向けのハイブリッドユニットの受託生産が始まりました。このユニットは広汽集団が上海モーターショーで発表した「传祺向往S7」に搭載されます。

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传祺向往S7
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生産開始の式典の様子

【インド】インドで始まるeAxle生産とスズキのBEV展開

インドでは、スズキ初のBEV量産モデル「e VITARA」に搭載されるeAxleの生産が始まりました。アイシンのインド生産拠点であるアイシン・オートモティブ・ハリヤーナー(AHL)が生産を統括し、トヨタ・キルロスカ・オートパーツ(TKAP)が実生産を担います。
※BluE Nexusとアイシン、デンソーによる共同開発

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e VITARA向けeAxle

この製品は、車両生産を行うスズキ・モーター・グジャラート社と同じインド国内で生産し、BluE Nexusのインド法人であるBluE Nexus Automotive India Pvt. Ltd.から供給します。これにより、スズキの市場ニーズに合わせた世界各国でのBEV展開に貢献します。

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生産開始の式典の様子
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初号機火入れ式の様子

【アセアン】地域初のハイブリッドユニット生産

タイの生産拠点「アイシン・パワートレイン・タイランド」では、アセアン地域で初となるハイブリッドユニットの生産を開始します。

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アイシン・パワートレイン・タイランド

このハイブリッドユニットはアイシンが三菱自動車と共同開発したもので、三菱自動車がタイで公開した「エクスフォース」ハイブリッドEVモデルに搭載される予定です。

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ハイブリッドユニット

地域主体の経営でお客様のニーズに素早く対応

このように、アイシンは電動化に向けたグローバルな生産体制の構築を着実に推進しています。2025年には、電動ユニットを450万台生産する体制が予定通り整う見込みです。

一方で、市場の状況は地域によってさまざまで、変化も激しくなっています。こうした状況にスピーディーかつ柔軟に対応していくために、アイシンはこれまでの本社主導の経営から、より地域に寄り添った経営へのシフトを進めています。その一環として、欧州、中国、インドでは、現地出身の優秀な人材をトップとして登用し、地域が主体となって自ら判断し行動できる体制を整備しています。これらの取り組みで、市場やお客様のニーズを的確に捉え、地域ごとの関係性を深めながら、地域主体の経営を実現してまいります。

こうした活動を通じて、私たちはこれからも持続的な成長をめざし、経営理念である「”移動”に感動を、未来に笑顔を。」を実現していきます。

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