エネルギー分野

1ペロブスカイト型太陽電池

ペロブスカイト型太陽電池の実用化に向けて、色素増感型向けの色素技術をベースとして、高性能高耐久かつ安価なホール輸送材料の研究開発を行っています。また、大面積化を意識した工法や材料開発も進めています。

ペロブスカイト型太陽電池の原理
ペロブスカイト型太陽電池の原理
  • ①光吸収層(ペロブスカイト型結晶)が太陽光を吸収し、電子とホールを生成、それぞれ透明光極と背面対極へ移動する
  • ②電子は透明光極を経由し、負荷を通って対極に移動。
  • ③対極に移動した電子はホールと結合する。

【 研究成果(例)】

ホール輸送層材料の構造
ホール輸送層材料の構造
電子分布シミュレーショ
電子分布シミュレーショ

ペロブスカイト型太陽電池は、ペロブスカイト型結晶層の光吸収によって励起した電子とホール(正孔)を分離し、外部へ取り出すことで発電します。効率的な発電のためには発生したホールを素早く輸送できるP型半導体層=ホール輸送層が重要です。我々は色素増感型太陽電池用の増感色素を研究する過程で培った有機半導体のノウハウを駆使し、新しいホール輸送層材料「DHCF-3」を開発しました。(特許出願済み)
電池性能は従来材料を使用した場合と同等ですが、材料コストは大きく低減できる見込みです。これからも更なる電池性能の向上とコスト低減を目指して研究を進めています。

2次世代燃料電池

次世代燃料電池に向けて、A:メタルサポート型SOFC(固体酸化物型燃料電池)、B:プロトン伝導型SOFCの研究開発と、AとBを合わせたハイブリッドセルによる用途拡大をめざしています。

A:メタルサポート型SOFC

参考:従来のSOFC(アノード支持型)
従来のSOFC(アノード支持型)
メタルサポート型SOFC
メタルサポート型SOFC

燃料電池のなかで最も高温(通常700~1000℃)で稼働し、単独の発電装置としては最も発電効率が良い(45~65%)SOFCですが、以下のような課題があります。
・高温で作動するため、起動停止に時間がかかる
・大きな熱応力がかかるため、耐久性がよくない
私たちは、この課題を解決するために、メタルサポート型のSOFCを開発しています。

B:プロトン伝導型SOFC

SOFCは燃料電池の中で最も発電効率が高く、地球温暖化抑制技術として注目を集めています。
SOFCには大きく分けて酸化物イオン伝導型(O²⁻)とプロトン伝導型(H⁺)の2種類が存在していますが、現在世の中で実現されているのは、酸化物イオン伝導型です。
プロトン伝導型は発電に伴うH₂Oの生成が空気極側で起こるため、
燃料利用率を高くでき、より高効率が実現できます。
私たちはこのプロトン伝導型燃料電池の研究に取り組んでいます。

A+B:ハイブリッドセルによる用途拡大

ハイブリッドセルによる用途拡大
ハイブリッドセルによる用途拡大

私たちは、A:メタルサポート型SOFCと、B:プロトン伝導型SOFCを組み合わせた「ハイブリッドセル」にチャレンジしています。
ハイブリッドにすることで、性能・コストが大きく改善され、モビリティへの応用、水素製造への応用(SOEC)などが期待されています。

3フッ化物イオン電池

電池比較
電池比較
電池反応機構
電池反応機構

現在一般的に利用されるようになった「リチウムイオン電池」ですが、まだまだ材料的、構造的に、安全性・価格・容量に課題があり、世界中でその課題解決にむけた研究が行われています。
私たちは、その課題を解決するため、次世代の蓄電池として期待されている、「フッ化物イオン電池」の研究を行っています。特に、電解質に注目し、私たち独自の水系電解質を開発することで、大幅な性能向上と、究極の安全性を目指しています。